経過
9歳半の雑種オスネコさんが歯肉炎の治療相談で来院されました。
転居により当院の近所に引っ越されてきたのですが、以前のかかりつけ医では一部の臼歯のみの抜歯を実施し、ステロイドの内服で痛みをコントロールしていました。
口腔内の痛みや流延が激しく、食欲はあるものの食べ辛い日常を送っていたとのことでした。
状態および処置内容の決定
体重は3.6kgでやや瘦せ型、常時よだれが出ている状態で重度の歯肉炎、FIV(猫免疫不全症候群ウイルス)やFeLV(猫白血病ウイルス)の感染はありませんでした。
長年のステロイド投与を軽減、もしくは止めることを目標に、臼歯と犬歯全ての抜歯を実施することとなりました。
抜歯手術
複根臼歯は歯根を分割して抜歯、歯肉を縫合しました。
≪犬歯の抜歯過程≫

犬歯は歯肉炎はあるものの動揺はかったため、歯肉フラップを形成し歯槽骨を削り抜歯しました。

歯肉フラップを形成、歯槽隆起の外側の骨を2/3ほど削り犬歯を起こして抜歯

口蓋粘膜を切開剥離し、歯槽骨辺縁を研磨

頬側歯肉フラップと口蓋粘膜フラップを合わせて縫合
抜歯後の経過
術後は抗生剤とインターベリーにて口腔内細菌叢の、ステロイドにて疼痛をコントロールしました。
抜歯後1週間ほどは流延があり下顎の皮膚への影響もありましたが、次第に軽減、歯肉のフラップの状態もよく食欲も落ちることなく体調良好でした。
2か月ほど経過して、漸減していたステロイドはほぼ使用することがなくなり、体重も4㎏強まで増加しました。
インターベリーのみ持続的に使用し経過をみています。
難治性の歯肉炎への全顎抜歯の適応は長年の痛みとステロイドの使用から脱却でき、QOLが上がりネコさんにとっても飼い主様にとっても喜ばしい結果となりました。
