【手術症例Case4】13歳の犬の巨大乳腺腫瘍

1. 手術の概要

  • 手術日: 2024年09月

  • 手術対象動物: 犬(13歳9ヶ月、メス)

  • 症状と診断: 約1年前から乳腺部に1cm大のしこりが確認されていましたが、他院で「高齢のため麻酔は推奨しない」と診断され、経過観察となっていました。しかし、この1年間でしこりのサイズは20cm大に達し、3日前から食欲の低下が見られたため、当院をセカンドオピニオンとして受診されました。

2. 手術の目的

  • 目的: 急速に増大した乳腺腫瘍を摘出し、動物の生活の質を向上させること

  • 期待される結果: 腫瘍の除去による食欲の改善および体調の回復

3. 手術の準備

  • 事前検査: 術前検査として血液検査および胸部レントゲン、腹部超音波検査を実施し、特に異常は認められませんでした。

  • 準備内容: 高齢であるため麻酔のリスクを十分に検討しましたが、検査結果から麻酔は実施可能と判断しました。

4. 手術の流れ

  • 手術手順

メスとバイポーラーを使用して腫瘍を摘出していきます。かなり出血しやすく、慎重に剥離をしていく必要がありました。

摘出が完了しました。

縫合もかなり大変でしたが、なんとか寄せることができました。

  • 麻酔の状況: 全身麻酔を使用し、バイタルサインを安定的に保ちながら進行しました。約4時間の長時間の麻酔でしたが、昇圧剤、麻薬制鎮痛薬の持続点滴を用いることで常に安定した状態で手術を行うことができました。

5. 手術後の経過

  • 手術直後の状態: 手術後の意識回復は良好で、バイタルサインも安定していました。

  • 痛みの管理: 手術後は非ステロイド系の鎮痛薬を投与し、痛みの管理を行いました。

  • 今後のケア: 手術翌日から食欲が100%回復し、非常に元気な様子が見られました。抜糸は2週間後に行い、問題なく完了しました。

6. 回復の見込みと注意事項

  • 回復の目安: 手術翌日からの食欲回復が見られたため、全体的な回復も非常に順調でした。

  • 飼い主へのアドバイス: 術後は体の負担を減らすため、しばらくは激しい運動を避け、安静に過ごすことをお勧めしました。

7. 手術に対する総括

  • 手術の評価: 手術は予定通りに終了し、術後の回復も良好で、当初の目標であった食欲の改善が確認されました。

  • チームの協力: チーム全員で高齢動物の麻酔管理を慎重に行い、無事に手術を完了することができました。

8. 病理検査結果

  • 病理検査の結果: 摘出した腫瘍は「癌肉腫」であり、乳腺腺癌と骨肉腫が混在したものでした。再発のリスクについて飼い主さんと十分に話し合い、今後のケアについても具体的な計画を立てました。

9. 飼い主さんへの感謝

この度は大切なご家族を信頼して任せていただき、ありがとうございました。高齢での手術という難しい選択でしたが、飼い主さんの深い愛情とご理解のおかげで、無事に手術を成功させることができました。今後も健康管理をサポートさせていただきます。

10.院長の総括

「高齢なので麻酔をかけることはできません」と言われた場合には、一度当院までご相談ください。確かに年齢は手術リスクを上げるひとつの要因ではありますが、麻酔ができない理由にはなりません。「どんな高齢犬でも麻酔をかけることができます!」なんて無責任なことは言いませんが、「高齢=麻酔はできない」と安直に考えることなく、適切な術前検査を行い、麻酔リスクをしっかりと見極めた上で総合的に判断させていただきます。

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